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第二十六話 凍結という名の礼儀

ผู้เขียน: 海野雫
last update วันที่เผยแพร่: 2026-05-30 19:04:47

 月曜日の合同会議が始まる前、紡は落ち着かなかった。

 どんな顔をして有馬と向き合えばいいのか、わからなかった。

 金曜日の慰労会で、有馬は紡にキスをしようとした。確かな事実だった。紡は受け入れるつもりだった。なのに、有馬は自分から身を引いて「忘れてくれ」と言ったのだ。忘れたくても忘れられるはずがない。

 ようやく自分が一歩を踏み出せたと思ったのに、今度は有馬のほうが引いた。

 紡と有馬のあいだには、いつも一定の距離が決まっていて、どちらかが近づけば、もう一方がきっちりその分だけ引いてしまう。そんな仕組みになっているのだろうか。

 それは、紡が十年かけて作り上げてきた、自分のための仕組みでもあった。近づきすぎないこと。踏み込みすぎないこと。壊れる前に手を引くこと。今までは、いつも紡のほうが先に引いていた。今度は、有馬のほうが先に引いただけだ。役割が入れ替わったのではない。距離そのものは、なにひとつ変わっていないのかもしれない。

 もうどうすればいいのかわからず、紡はため息をついて会議室へ向かった。

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